『世の中のヒント』

日常生活の中で気付いたことなどをいろいろ気ままに書いていきます。

成績優秀者一覧表の有効な使い方

 



 運動神経もさほど良くない。



 勉強も全然ぱっとしない。



 唯一、自慢できるところは



 人に対して、とても優しく素直だった



ということ。



 小学生時代の息子は、公文の宿題もほとんどすることはなく、学力もいたって普通の平凡な子供でした。




 小学校高学年で英進館に入ったわけですが、その時も、クラス分けテストで、最初は、チャレンジクラスという一番底辺のクラスに入れられていました。



 親としては、ちょっとがっかりしたことも事実です。




 『あ~、あの中学受験しないクラスね。』



みたいな




『とりあえず一番下から頑張りましょう!』




って感じです。



 逆に言うと、上にしか伸びることのない素晴らしいクラス。




 そのクラスから、将来、秀才しか通うことを許されない天神の英進館本館に行くようになる子供は、ほとんどいないと聞いてました。




 ただ、チャレンジクラスというクラスは、そんなに人数も多くなかったので、英語なんかはマンツーマンという時もありました。




 それでいて、通常の料金。




 実質、家庭教師みたいなもので、今、振り返って見ると、『あれは得だった。』と本人も言ってました。




 その頃は、塾の先生や生徒の誰もが、全くぱっとしないマイペースのうちの息子が、後々、国立医学部医学科に合格するなんて頭にもなかったと思います。




 私も、全く、医学部医学科に合格なんて全く頭になく、考えてもいませんでした。




 しかし、中学校になって、チャレンジクラスでの勉強の成果と公文の成果が少しずつ出てきたみたいで、塾内のクラス分けテストで、何故か、地方英進館の一番上のクラスに入ることが出来ました。


先取り学習の公文


 そのクラスに入る前に、いくつかのクラスが立ちはだかっているのですが、そこを飛び越えて一番上のクラスに入ることができました。




 これには私も非常にびっくりしました。



 

 『いつの間に!』



って感じでした。



 

 何故か、中学校一年生の最初の実力テストでも、学年で10番以内に入るという快挙を成し遂げました。




 中学の担任先生の家庭訪問で、順位を先生がこっそり教えてくれました。




 どんな感じで学校生活を送っていたのか分かりませんが、いつも穏やかで、周りに優しい、とても素直な子供で、先生から



『何も言うことはありません。というか、どうしたら、こんな子供に育つのですか?』



と聞かれたほどです。



 性格なのか、学校の先生たちや塾の先生たちから、いつもとても可愛がられて、今でもとても感謝しています。




 学力に関しては、公文を地道にやってきた成果とも考えられますし、チャレンジクラスという一番下のクラスで無理なくマイペースでマンツーマンのような勉強を続けられたおかげだと思っています。




 自分の学力を確認するために有効なのが模試ですけど、うちの子は、この模試の後、塾から貰ってくる成績優秀者一覧をよく活用して奮起していました。




 中学生になると、本格的に塾で全国模試等を受けるようになり、試験後しばらくして、模試の成績優秀者一覧なるものを塾からもらって帰って来るようになりました。




 成績優秀者一覧には、大体、1位から100位までにランクインした生徒の名前や出身校、点数等が載っています。




 うちの子供は、中学校に入った当初、模試で100位以内に入ることなど決してありませんでしたし、考えたこともありませんでした。




 もちろん、子供の名前が載ってないので、親も成績優秀者一覧など見向きもしません。



 載るわけない



とはなから思っていますから。




 しかし、子供が努力を重ねて学力が伸びてくると、次第に



『あと2点あれば、100番に入ってたのに。』




という状況が生まれてきます。



 これが第一段階。




『これもしかして、ランクインいけるんじゃないの!!』




という気持ちが沸いてきます。




 次に、奇跡的に試験が上手くいき、初めて、成績優秀者一覧の97番などに自分の子供の名前が出たりします。




 この時は、思わず



『お~、すごい!』




って叫んでしまいました。




 そして、そのようなことが、たまに続くようになります。




 すると、今度は



『毎回、名前が成績優秀者一覧に載るように頑張れ!』




となります。




 あまり、プレッシャーをかけてはいけないことは分かっていても、知らず知らずに



『今度もランクイン間違いなしでしょう。ねえ!』



などとプレッシャーをかけてしまいます。




 このような状態にも慣れれてしまい、以前のうだつの上がらない子供のイメージは、すっかり忘れてしまいます。




 これが第二段階。




 次に、親も、子供に歯の浮くような褒め言葉をかけ子供をその気にさせます。



 すると、子供も、その順位を維持したいという気持ちが芽生え、頑張り出します。



 そして、その頑張りが功を奏し、成績優秀者一覧の50位くらいに頻繁に顔を出すようになります。



 この頃から



『成績優秀者一覧の上位は、どんな子だろう?』




と思って、一覧を上から下まで見るようになります。




 何回か見ていると、あることに気付きます。




 それは、上位の子は、いつもほとんど面子が変わらないということです。




 いつも、同じ名前が、一覧の中を上がったり下がったりしています。




 九州全域、色んな地区の生徒がおりまして、息子と同じ中学校の生徒も数人上位にランクインしていました。



 それで



『まずは、同じ中学校の成績優秀者の中で一番をとろう!』



となり、



『もっと頑張れ!絶対上位に行けるはず!』



となります。



 口で言うのは簡単ですが、言われた子供は、プレッシャーでいっぱいです。


 

 そこで、ちょっとだけ、子供が反抗期に入ります。



『簡単に言うけど、頑張ってるのは俺だから、ほっといて。』



 で、親も少し反省するんですが、やはり上位に行って欲しい。



 ここで、父親である私が賞金で釣ります。



『10番以内に入ったら、賞金5万円!!』



 すると、俄然、子供にやる気が出ます。


 

 すぐに、子供の反抗期も終わります。



 そして、遂に、10番以内に名前が載ります。


 

 約束通り、子供に報酬を与えます。



 贈呈式なんぞ開いたりして、子供のモチベーションをあげます。



 子供にも、より自信が生まれ、絶対に落ちたくないという気持ちが出てきます。



 そして、いつの間にか、成績優秀者一覧の上位の常連さんになります。



 

 こうなるとの子供の気持ちも、親の気持ちも



『成績はいつも上位にいて当然』



という気持ちになります。



 すると、子供にも自信とプライドが出て来て、医学部受験も射程内に入ってきます。



 たまに、80番代などになると



『どうしたの?どこで失敗したの?』



となります。



 もう、こそには、成績優秀者一覧にちらっと顔を出していた昔の姿は消え失せています。



 その頃、ちっとも心配などしていなかったのに、順位がやたら気になります。




 『自分が成績優秀者一覧に載ってないなんて有り得ない。』




という気持ちになり、自分の努力が、順位と賞金という形で見えてくると、子供は調子に乗ります。



 そこで、更に、どんどん調子に載せないといけません。


 

 すると、たまに、模試で数学が一番になったりする事があります。



 満点を取れば、自動的に一番です。



 ここで、いい気になっている子供に釘を刺します。



『本番で点数を取らないと何の意味もない。』



 子供も


『それはそうだ。』



と納得します。



 また、成績上位者の常連になると



『今回の試験は、○○君が受けてないので、5位になれた。』



などとほざくようになります。




 特定の成績上位者が、その模試を受けるか受けないかで、自分の順位が予想出来るようになります。




 ここまで行くと恐ろしいです。





 世の中の多くの父親は、子供の成績なんて、母親と子供に任せっきりかもしれません。




 しかし、それではいけません。




 父親も、子供の学力向上のために、いつも上手く子供をおだて、モチベーションが上がるサプライズを心掛け、成功に導いてやらないといけません。




 医学部受験が近づくと、逆に一般の模試の順位を気にしなくなります。




 医学部は、大学によって勉強のやり方が異なるからです。




 志望大学の判定だけが気になります。



 

 そんな感じで、息子は、結局、最後までD判定であった第一志望の医学部医学科に合格しました。




 振り返ってみると、いつも国語は平均以下という成績で、模試の総合点では、10番以内にランクインしていた息子は、奇跡でした。